作品データ
DMMブックスの小説(ヒューマンドラマ)。著者は伊吹有喜。572円・2021年7月15日配信。全3巻で続いてきたシリーズの一冊です。
どんな作品か
舞台は新宿三丁目、かつて新宿追分と呼ばれた界隈の路地にある一軒の店です。昼は「バール追分」としてコーヒーや定食を出し、夜は「バー追分」としてカクテルと軽いつまみを供する。昼は朗らかな女性店主が、夜は白髪のバーテンダーが立つこの店に、人生の分かれ道に立った人たちが立ち寄ります。シリーズを通して、そうした客たちの短い物語が積み重ねられていきます。
読みどころ
夢を追い続けるべきか、家族とどう向き合うか——答えの出ない事情を抱えた人が、一杯の時間だけ立ち止まる。その距離感が心地よいシリーズです。踏み込みすぎない店の側の応対と、料理や飲み物の描写が丁寧で、読んでいると実際に匂いが立つようです。一編ずつ独立しているので、区切りをつけて読めます。
こんな人に
食べ物と人情の描かれた連作短編が好きな人、寝る前にひと話ずつ読める本を探している人に。