作品データ
DMMブックスの小説(ミステリー・サスペンス)。著者は芦沢央。1,012円・2025年4月22日配信。第76回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した長編で、中央公論新社から刊行されました。
どんな作品か
1996年の横浜で塾の経営者が殺害され、被疑者とされた元教え子の行方は二年経ってもつかめないまま——という状況から始まる長編です。その男を匿う女、捜査の中心から外されながら追い続ける刑事、そして父親から虐待を受けている少年。それぞれの事情が少しずつ重なり合っていきます。
読みどころ
携帯電話もSNSもない1996年という時代設定が、人を捜すことと隠れることの手触りをそのまま物語の緊張に変えています。誰が犯人かという一点よりも、登場人物それぞれが何を守ろうとしているのかに焦点が置かれた作りです。視点が切り替わるたび、見えていた景色の意味が変わっていきます。
こんな人に
人物の心理を丁寧に描くミステリーが好きな人、視点が交錯する重層的な長編を読みたい人に。