作品データ
DMMブックスの小説(エッセイ・自叙伝)。著者は内田百間。796円・2017年11月8日配信。愛猫の失踪をめぐる随筆をまとめた一冊です。
どんな作品か
家に住み着いた野良猫のノラが、ある日ふいに帰ってこなくなります。著者は連日泣き暮らし、新聞に広告を出し、尋ね猫のビラを配り、寄せられる情報に一喜一憂します。その顛末を日録のように書き綴った文章に、のちに家へやってきた猫クルツをめぐる文章が続きます。
読みどころ
漱石門下の名文家として知られる著者が、猫がいなくなった悲しみだけを延々と書き続ける——その執着ぶりが、可笑しみと切実さの両方を生んでいます。飼い主なら覚えのある心の動きが、飾り気のない言葉で正確に写し取られています。読み進めるうちに、こちらまでノラの帰りを待つ気持ちになってきます。
こんな人に
猫と暮らしたことがある人、名文で綴られた日本の随筆に触れてみたい人に。