作品データ
DMMブックスの小説(ミステリー・サスペンス)。著者は貫井徳郎。価格545円、2016年10月26日配信。
どんな作品か
エリート銀行員が妻と娘を殺害した——という衝撃的な事件を軸にした長編ミステリーです。犯人はすでに判明しているにもかかわらず、その動機がまるで理解できないことから、一人の作家が事件の真相を追って関係者への取材を重ねていきます。「なぜ人は人を殺すのか」という問いを、静かに、しかし執拗に掘り下げていく構成が特徴です。
読みどころ
穏やかで隙のない人物像と、彼が犯したとされる行為との落差が、物語全体に不気味な緊張感を生み出します。取材を進めるほどに輪郭がぼやけ、確かだと思っていた事実が揺らいでいく感覚は、貫井徳郎らしい心理サスペンスの醍醐味です。読み手自身の「理解できるはず」という前提を揺さぶってくる一冊です。
こんな人に
動機や人間心理の不可解さに惹かれる方、後味の余韻が残る本格ミステリーを求める方におすすめです。