作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は伊吹有喜、装画は関美穂子。1,760円・2018年5月2日配信。のちに『天の花』『常夏荘物語』へと書き継がれた、長いシリーズの起点となる一作です。
どんな作品か
遠州の旧家・遠藤家の別邸「常夏荘」を舞台にした物語です。母に顧みられず学校でも居場所のない少女・耀子が、祖父を頼って常夏荘で暮らし始めます。夫を早くに亡くし静かに屋敷を守る「お嬢さん」こと照子、療養のため東京から来た跡取りの少年・立海。三人の出会いが、それぞれの時間をゆっくりと動かしていきます。
読みどころ
昭和の地方の旧家という舞台が、季節の移ろいや屋敷の佇まいとともに丁寧に描かれます。自分には価値がないと思い込んでいた少女が、人に必要とされる経験を重ねていく過程が物語の中心にあります。派手な出来事に頼らず、日々の積み重ねで人が変わっていく様子を書ききった一作です。
こんな人に
少女の成長を静かに追う物語が好きな人、長く付き合えるシリーズものを探している人に。