作品データ
DMMブックスの一般書(ルポ・エッセイ・自叙伝)。著者は岩井圭也。2,200円・2024年5月15日配信。文藝春秋から刊行され、第171回直木賞の候補となった長編小説です。
どんな作品か
博物学者・南方熊楠の生涯を描いた作品です。和歌山に生まれ、膨大な書物を書き写す少年期を経て、アメリカ、そしてロンドンへ渡り、粘菌の研究や民俗学の仕事に打ち込んだ人物の歩みを、熊楠自身の視点から追っていきます。学歴や肩書きに拠らず、在野を貫いた生き方が物語の芯に置かれています。
読みどころ
奇人として語られがちな熊楠を、迷いも失敗も抱えたひとりの人間として描いている点が印象に残ります。菌類の描写には、農学を学んだ著者ならではの手触りがあります。時代の枠に収まりきらない才能が、周囲や制度とどうぶつかったのかが丁寧に書き込まれています。
こんな人に
実在の人物を描いた評伝小説が好きな人、学問に打ち込む人物の物語を読みたい人に。