作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 山本文緒- 価格: 699円- 配信日: 2023-10-11
どんな作品か
『プラナリア』で直木賞を受賞した山本文緒の短編集である。表題作は、色白でどこか人形めいた恋人を心の中で「ばにらさま」と呼ぶ男の物語。ごく普通に見える暮らしや恋愛の水面下で、少しずつずれていく人と人との関係を、乾いた筆致で描き出す作品が並ぶ。2021年に急逝した著者の、円熟期の短編仕事をまとめた一冊でもある。
読みどころ
平穏な日常の描写の中に、ふとした違和感や心の暗部が忍び込み、読み終えたあとにひやりとした余韻を残す構成の妙が光る。人間の身勝手さや弱さから目をそらさない視線は、山本文緒作品ならではのものだ。
こんな人に
心理描写の鋭い現代小説が好きな人、後味に癖のある短編を求める人に薦めたい。著者の作品を読み継いできた読者にとっても大切な一冊となるだろう。