作品データ
区分: 一般ノベル / 著者: 川越宗一 / 価格: 880円 / 配信日: 2022-07-06
どんな作品か
本書は、樺太(サハリン)に生きたアイヌやウィルタといった先住民族の人々を軸に、日露関係が揺れ動く近代の歴史を描いた小説である。実在の人物ヤヨマネクフをはじめ、故郷や文化を奪われながらも生き抜こうとする人々の姿が、大きな歴史のうねりの中で描かれていく。国家という枠組みに翻弄されながらも、自らの文化や誇りを守ろうとする人々の営みが丹念に描かれている。
読みどころ
一つの民族や国家に偏らず、樺太という土地をめぐる複数の立場からの視点を織り込んでいる点が本書の読みどころである。歴史に埋もれがちな人々の営みを、丁寧な取材に基づいて掘り起こしている構成にも厚みがある。異なる文化や立場を持つ人物たちが交わっていく群像劇としての厚みも魅力だ。
こんな人に
近代史の中でも、あまり語られてこなかった先住民族の視点から歴史を読みたい人に向く一冊である。