作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 歌野晶午- 価格: 569円- 配信日: 2017-12-05
どんな作品か
どんでん返しの名手として知られる歌野晶午によるミステリーである。スーパーマーケットの保安責任者・平田誠は、万引きをした女性・末永ますみを警察に突き出さず、見逃してやる。その小さな選択をきっかけに、接点のなかったはずの二人の人生が交わっていく。季節の移ろいを思わせる題名が、物語の構造と静かに響き合う作品だ。
読みどころ
二人の視点が交互に語られる構成の中に、著者ならではの仕掛けが張りめぐらされている。詳細は伏せるが、何気なく読み流した描写の意味が後になって反転する感覚は、この著者の真骨頂といえる。一方で、喪失を抱えた男と過去を持つ女の交流を描く人間ドラマとしての読み応えもあり、単なる技巧だけの作品に終わっていない。
こんな人に
伏線と仕掛けを味わうミステリーが好きな人にまず薦めたい。派手な事件より人間の心の動きを軸にした物語を好む読者にも合う。文庫一冊で完結する構成も手に取りやすい。