作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は中島京子。価格799円、2016年10月17日配信。第143回直木賞受賞作で、山田洋次監督により映画化もされた。
どんな作品か
昭和初期から戦中の東京を舞台に、ある中流家庭で女中として働いた女性「タキ」の回想として綴られる物語です。赤い三角屋根の「小さいおうち」で暮らす一家と、そこで働くタキの日々が、老いた彼女の手記という形で静かに描かれていきます。戦争へと向かう時代の空気を、家庭という小さな窓から映し出します。
読みどころ
家事や奉公の細やかな描写を通して、当時の暮らしぶりが生き生きと立ち上がってくるのが魅力です。穏やかな語り口の奥に、語り手が胸にしまい込んだ思いがほのかに滲み、読み進めるほどに一家の秘めた物語が気になってきます。時代小説でありながら、人の記憶の不確かさや切なさに触れる一冊です。
こんな人に
昭和の市井の暮らしを丁寧に描いた物語や、静かな余韻の残る文学作品が好きな方におすすめです。