作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は寺地はるな。価格1815円、2023-08-18配信。新潮社。
どんな作品か
『ガラスの海を渡る舟』などで知られる寺地はるなによる長編です。同じ地方都市に生まれ育った三人――幼い娘を育てるシングルマザーの朱音、同じ保育園に子を預ける専業主婦の莉子、マンション管理会社に勤める独身の園田――を軸に物語が進みます。いじめ、モラハラ、母親の支配といった過去に受けた心の傷が、それぞれの人生に影を落としていきます。
読みどころ
過去の傷が生む恨みや葛藤を、複数の視点から丹念に描き出す心理サスペンス的な構成が読みどころです。誰もが抱えうる痛みを繊細にすくい上げる寺地はるならしい筆致で、登場人物たちの内面に静かに迫ります。人と人の関係の複雑さが、少しずつ絡み合いながら立ち上がっていきます。
こんな人に
人の心の機微を丁寧に描く物語が好きな人、重いテーマを扱う現代小説を読みたい人におすすめです。