作品データ
- 区分: 一般ノベル / 日本文学- 著者: 奥田英朗- 価格: 1210円- 配信日: 2022-11-28
どんな作品か
奥田英朗が昭和の未解決事件史に材を取り、東京オリンピック開催を翌年に控えた昭和38年の東京を舞台に描いた長編犯罪小説である。北の島から東京へ流れてきた青年・宇野寛治と、彼を追う刑事たちの姿を軸に、幼児誘拐事件をめぐる捜査の攻防が展開する。実際に起きた事件をモチーフにしながら、あくまで小説としての人間ドラマを打ち立てた力作だ。
読みどころ
高度経済成長期前夜の東京の空気を再現する筆力が圧巻である。貧困と孤独を抱えた青年の内面と、地取り捜査に奔走する刑事たちの執念が交互に描かれ、犯人側と捜査側の双方に感情を揺さぶられる構成になっている。社会派の重さとエンターテインメントの推進力を両立させる奥田英朗の技量が存分に発揮された一作である。
こんな人に
昭和の時代小説や実録風の犯罪小説が好きな人、警察捜査ものをじっくり読みたい人に向く。重厚な読み応えを求める読者に応える長編である。