作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は吉村昭、価格693円、2021年7月28日配信。
どんな作品か
時代や場所を明かさない、貧しい海辺の寒村を舞台にした長編小説。塩焼きなどで細々と暮らす村には、冬の夜に浜で火を焚き、座礁した船とその積荷を「お船様」として恵みとする言い伝えがあった。少年・伊作の視点を通して、厳しい自然のなかで生きる人々の営みと、村を支える習わしを静かに描いていく。
読みどころ
生きることのぎりぎりの厳しさと、それを受け入れて暮らす人々の姿を、抑制のきいた文章で淡々と描く筆致が読みどころ。派手さはないが、貧しさや自然への畏れがひたひたと迫ってくる。史実に取材した作品を多く手がけた著者ならではの、緊張感のある物語世界を味わえる。
こんな人に
骨太な文学作品や、人間と自然の関わりを描いた物語が好きな人におすすめ。