作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は吉村昭。価格693円、2021年7月21日配信。
どんな作品か
昭和初期、黒部川上流の峡谷に発電所へ通じるトンネルを掘り抜こうとした難工事を題材とする記録文学です。掘削地点の岩盤温度は摂氏160度を超える高熱地帯におよび、ダイナマイトの自然発火や雪崩といった過酷な自然条件のなかで工事が進められました。豊富な資料取材に基づき、事実に肉薄する筆致で知られる吉村昭の代表作のひとつです。
読みどころ
人間と自然が正面からぶつかり合う極限の現場を、抑制のきいた硬質な文章で克明に描き出します。技術者や作業員たちが困難な条件に立ち向かう姿を通して、開発の裏にある労苦と犠牲の重みが静かに伝わってきます。感傷を排した記録文学ならではの緊張感が全編を貫きます。
こんな人に
史実に基づいた重厚なノンフィクション・ノベルや、極限状況の人間ドラマを読みたい方におすすめです。