作品データ
DMMブックスの一般ノベル(海外文学)。著者はポール・オースター、訳は柴田元幸。価格605円、2020年7月13日配信。新潮文庫として刊行された中編小説です。
どんな作品か
私立探偵ブルーが、ホワイトという男から、ブラックという人物をひたすら見張るよう依頼される――。ただ相手を監視し続けるだけの奇妙な仕事を通して、見る者と見られる者の境界が揺らいでいきます。オースターの代表作「ニューヨーク三部作」の一編に数えられる作品です。
読みどころ
登場人物が色の名で呼ばれる乾いた文体と、探偵小説の枠を借りながらそこから逸脱していく仕掛けが特徴。アイデンティティや存在の不確かさをめぐる思索が、静かな緊張感とともに立ち上がります。柴田元幸による端正な訳文も味わいどころです。
こんな人に
筋書きの意外性より読書そのものの手触りを楽しみたい人、現代アメリカ文学や実験的な物語に触れたい人に。