作品データ
- 区分: 書籍- 著者: 川上和人- 価格: 693円- 配信日: 2020-07-10
どんな作品か
鳥類学者・川上和人による、抱腹絶倒のフィールドワークエッセイである。著者は小笠原諸島などを調査フィールドとする研究者で、本書には火山灰にまみれ、虫に襲われ、灼熱の無人島で奮闘する調査の日々が、自虐とユーモアたっぷりの筆致で綴られている。挑発的なタイトルからも分かるとおり、「学者は対象を愛しているに違いない」という世間のイメージを軽妙に裏切りながら、それでも研究に没頭してしまう学者の性を描き出す。
読みどころ
何よりの魅力は、脱線と小ネタを織り交ぜた文章の面白さである。笑いながら読み進めるうちに、鳥類学という学問の実際や、研究者がどうやって知見を積み上げているのかが自然と伝わってくる。過酷な調査環境の描写は生々しいのに悲壮感がなく、科学エッセイの傑作として広く読まれてきた理由がよく分かる一冊だ。
こんな人に
理系の面白エッセイが好きな人、研究者の生態をのぞいてみたい人にぴったりである。鳥に特段興味がなくても楽しめる、その点も本書の懐の深さだ。