作品データ
区分: 一般ノベル / 著者: 小山田浩子 / 価格: 605円 / 配信日: 2019-02-15
どんな作品か
芥川賞を受賞した小山田浩子の中編小説で、郊外に広がる巨大な工場を舞台に、そこで働く三人の人物の視点が交錯しながら物語が進んでいく。工場内では意味の判然としない作業が延々と繰り返され、働く人々もその全体像を把握できないまま日々を過ごしており、日常と非日常の境目が次第に曖昧になっていく。工場という組織そのものが一つの生き物のような存在感を帯びていく点も本作の大きな特色である。
読みどころ
淡々とした文体でありながら、読み進めるほどに工場という場そのものが異様な存在感を帯びてくる筆致が本作の持ち味である。明確な事件が起きるわけではないのに、細部の描写が積み重なることで不穏さがじわじわと増していく構成も見どころであり、三者三様の視点が並行して進む語りの構造も特徴的である。人間よりも組織や場そのものを主役に据えるような視点の置き方も独特である。
こんな人に
派手な展開よりも、じわじわと侵食してくるような不条理な読後感を求める人に向いている。静かな筆致の純文学を好む読者にも合っている。