作品データ
DMMブックスの小説。著者は向坂くじら。1,760円・2024年7月12日配信。詩人として活動してきた著者の初の小説で、第171回芥川賞の候補作に選ばれました。
どんな作品か
高校生のときに亡くなったはずの親友・朝日から、五年後に電話がかかってくるところから物語は始まります。社会に出ようとしていた時子は朝日を家へ迎え入れ、そのまま同居が続いていきます。生きているのかどうかを曖昧にしたまま、二人の関係だけが濃くなっていく話です。
読みどころ
詩を書いてきた著者らしく、言葉の選び方や独白のリズムに手触りがあります。親しさと疎ましさ、愛情と加害が同じ場所に同居する感情を、逃げずに書こうとする筆致が本作の核です。読むほどに息苦しくなる種類の小説で、そのざらつきごと味わう一作といえます。
こんな人に
人間関係の生々しさを描く現代文学が好きな人、詩の言葉に近い小説を読みたい人に。