作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 児玉雨子- 価格: 1760円- 配信日: 2023-07-14
どんな作品か
アイドルへの歌詞提供で知られる作詞家・児玉雨子による小説で、第169回芥川賞の候補となった作品である。主人公の雪那は、小学生の頃にジュニアアイドル「せつな」として活動していた。やがて成長した彼女は、ネットに残り続ける当時の写真という「デジタルタトゥー」に人生の折々でつきまとわれることになる。少女期と、その後の年代の視点を行き来しながら、消せない過去とともに生きる女性の葛藤を描く。
読みどころ
未成年を商品として消費する構造と、そこにいた本人のその後という、正面から扱われにくい題材に踏み込んだ点が本作の核心である。芸能の世界を内側から知る著者だからこその距離感で、告発でも美化でもなく、当事者の揺れる心情そのものを言葉にしていく。声を上げて戦うことができない人の弱さに寄り添う筆致が印象的だ。
こんな人に
現代的なテーマを扱う純文学を読みたい人、ネットと個人の記録の問題に関心がある読者に向く。芥川賞候補作から新しい書き手を知りたい人にも勧めたい。