作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 荻原浩- 価格: 605円- 配信日: 2015年9月18日
どんな作品か
直木賞作家・荻原浩によるミステリー長編である。舞台は類人猿の言語能力を研究する施設。キーボードを使って人間と意思疎通できるボノボの「バースディ」がいる研究室で、若い女性研究員が謎の死を遂げる。その場に居合わせた唯一の「目撃者」は、言葉を持つとはいえ人間ではないバースディだけだった。
読みどころ
動物との対話という特異な設定が、そのまま謎解きの鍵になる構成が秀逸である。バースディの証言をどこまで信じられるのかという問いが、動物と人間の心の境界という深いテーマへつながっていく。恋人を失った主人公の喪失と再生の物語としても読み応えがあり、ユーモアと哀切を併せ持つ荻原作品らしい味わいが全編に流れている。
こんな人に
一風変わった趣向のミステリーを探している人、動物と人間の関係を描く物語に心を動かされる人に薦めたい。切ない読後感を求める読者にも合う一冊である。