作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 中井英夫- 価格: 462円- 配信日: 2015-08-12
どんな作品か
日本ミステリー史に燦然と輝く中井英夫の代表作を、新装版として二分冊で電子化した一冊である。「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」と並んで三大奇書に数えられることも多い作品で、探偵小説という形式そのものを問い直す「アンチ・ミステリー」の金字塔として知られる。氷沼家をめぐる不可解な連続死に対し、複数の登場人物が競うように推理を披露していく構成が特徴で、謎解きの快楽と、その快楽自体への批評が同居する。
読みどころ
本作の魅力は、華麗な推理合戦の果てに立ち現れる、探偵小説の枠を超えた問いかけにある。密室の謎をめぐって展開される仮説の応酬は本格ミステリーとして濃密でありながら、読み終えたとき、推理すること自体の意味を考えさせられる。耽美的で彫琢された文章も中井英夫ならではで、ジャンルの臨界点に触れる読書体験が味わえる。
こんな人に
本格ミステリーを読み込んできて、その先にある一冊を求める人へ。ミステリー・サスペンスの歴史的名作を押さえておきたい読書家にも勧めたい。