作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 絲山秋子- 価格: 605円- 配信日: 2015年8月7日
どんな作品か
芥川賞作家・絲山秋子による長編で、直木賞候補にもなった疾走感あふれるロードノベルである。福岡の精神病院を抜け出した21歳の花ちゃんが、同じ入院患者の青年「なごやん」とともに車で九州を南へ下っていく。逃げること自体が目的のような道中を通して、生きづらさを抱えた二人の姿がユーモラスに、そして切実に描かれる。
読みどころ
博多弁の勢いあるモノローグが本作の最大の魅力だ。深刻になりかねない題材を、からりとした語り口と絶妙な脱力感で走り抜ける筆力は絲山作品の真骨頂である。九州の風景を縫って進む逃避行の先に、二人がそれぞれの現実とどう向き合うのかが静かな感動を呼ぶ。
こんな人に
ロードムービーのような小説が好きな人、方言の語りが生む文体の面白さを味わいたい人に薦めたい。重いテーマを軽やかに描く文学を求める読者にとって、忘れがたい一冊になるはずである。