作品データ
- 区分:一般ノベル- 著者:奥泉光- 価格:792円- 配信日:2015-08-04
どんな作品か
芥川賞作家・奥泉光による音楽ミステリーである。語り手は、高校時代に出会った天才ピアニスト・永嶺修人への畏敬の念を抱き続けてきた男。シューマンの音楽をめぐる修人との濃密な対話の記憶と、かつて起きた事件の謎が、回想の形で織り上げられていく。音楽論と青春の物語、そしてミステリーが分かちがたく結びついた、一筋縄ではいかない長編だ。
読みどころ
本作の白眉は、文章でシューマンの音楽を語り尽くす圧倒的な熱量である。演奏描写や楽曲論は音楽好きなら陶然とするほど濃密で、小説で音楽を「聴く」体験ができる。同時に、語りそのものに仕掛けが潜むミステリーとしての企みも周到で、終盤に待つ驚きは読者の間で長く議論の的となってきた。読後にもう一度最初から読み返したくなるタイプの作品である。
こんな人に
クラシック音楽を愛する人、技巧的な文学ミステリーを好む人にうってつけだ。歯ごたえのある読書を求める読者にこそ薦めたい。