作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 舞城王太郎- 価格: 440円- 配信日: 2015-08-04
どんな作品か
疾走する文体で知られる舞城王太郎の短編集である。表題作「熊の場所」は、少年の日常に潜む恐怖と、それにどう向き合うかを描いた作品で、恐怖に遭った場所へすぐに戻らなければならない、という印象的なモチーフが物語を貫く。ほかの収録作も含め、暴力や不穏さと、それを突き抜けていく生命力が同居する、著者らしい一冊だ。
読みどころ
句読点を飛ばすように畳みかける独特の文章のスピード感が、まず体感すべき読みどころである。グロテスクで不気味な出来事を描きながら、読後には奇妙な前向きさが残る。恐怖から逃げるのではなく、恐怖の場所へ引き返す勇気という主題は、単なるホラーや奇譚を超えて普遍的な力を持つ。短編ゆえに一気に読め、舞城作品の入口としても機能する。
こんな人に
既成の純文学の枠に収まらない、勢いのある日本文学を読みたい人に薦めたい。舞城王太郎を未読の人が最初に手に取る一冊としても、短くて濃いこの作品集は適している。