作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 小川洋子- 価格: 1881円- 配信日: 2024-10-09
どんな作品か
『博士の愛した数式』『密やかな結晶』などで国内外に読者を持つ小川洋子による、2024年配信の日本文学作品である。小川作品はこれまで一貫して、記憶や喪失、ひそやかな偏愛といった主題を、静謐で研ぎ澄まされた文章で描いてきた。本作もその系譜に連なる一冊であり、「耳に棲むもの」という題名自体が、音や声にまつわる繊細な世界を予感させる。
読みどころ
小川洋子の魅力は、日常のすぐ隣にある奇妙さを、誇張せず淡々と差し出す筆致にある。派手な事件よりも、登場人物の細やかな所作や沈黙に物語が宿り、読み終えたあとも余韻が長く残る。本作でも、題名が示す聴くことへの想像力を軸に、著者ならではの緻密な世界が展開されることが期待できる。
こんな人に
小川洋子の静かな物語世界を愛読してきた人にはまず手に取ってほしい。純文学の新作をじっくり味わいたい人、音や声といったモチーフに惹かれる人にも向く一冊である。