作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 深緑野分- 価格: 968円- 配信日: 2022-04-22
どんな作品か
深緑野分による歴史ミステリーの代表作である。舞台は1945年、敗戦直後のベルリン。米ソ英仏に分割占領された廃墟の街で、ドイツ人の少女アウグステは、世話になった恩人が不審な死を遂げたことを知る。彼女はその訃報を親族へ届けるため、一癖ある道連れとともに危険な旅路に踏み出す。現在の旅と並行して、ナチ政権下で過ごした彼女の少女時代が語られ、二つの時間軸が重なり合っていく。
読みどころ
誰が、なぜ恩人を死に至らしめたのかという謎解きの骨格に、戦争が普通の人々の暮らしと良心をどう蝕んでいったかという重い問いが編み込まれている。緻密な時代考証に支えられた占領下ベルリンの描写は圧巻で、ミステリーとしての決着が歴史の痛みと分かちがたく結びつく構成が見事だ。
こんな人に
歴史小説と本格ミステリーの双方を愛する読者にまず薦めたい。第二次世界大戦下のヨーロッパを市井の人の目線で描いた物語を読みたい人にも、深く残る一冊である。