作品データ
区分: 一般実用 / 著者: 杉山春 / 価格: 924円 / 配信日: 2016-03-17
どんな作品か
大阪で起きた、母親が幼い二人の子供を置き去りにして死亡させた事件を追ったノンフィクションである。事件の経緯だけでなく、母親自身の生い立ちや、追い詰められていった暮らしの困窮・孤立の背景まで丹念に取材している。事件報道だけでは見えてこなかった、当事者を取り巻く環境の全体像を掘り起こそうとする姿勢が貫かれている。取材対象には行政や周囲の人々への聞き取りも含まれており、事件に至るまでの経緯を多角的に描こうとする姿勢がうかがえる。
読みどころ
加害者を一方的に断罪するのではなく、追い詰められていく過程を丁寧に描き出す取材姿勢が読みどころである。社会的な支援の不在という構造的な問題にも踏み込んだ内容になっており、事件を個人の資質だけに帰さない視点が全体を通じて貫かれている。
こんな人に
児童虐待という重いテーマに正面から向き合い、事件の背景にある社会構造まで考えたい人に向く一冊である。同種の事件の再発防止について考えるきっかけを探している人にも参考になる。