作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 吉本ばなな- 価格: 477円- 配信日: 2016-01-30
どんな作品か
吉本ばななが「死」と向き合って書いた二つの中編を収めた作品である。「ハードボイルド」では、山道をひとり歩く女性が、かつて共に暮らした亡き恋人の記憶を抱えたまま、山あいの宿で不思議な一夜を過ごす。「ハードラック」では、脳死状態となった姉の死を静かに待つ日々を送る妹の心の揺れが描かれる。どちらも大切な人を失うことをめぐる物語でありながら、重苦しさに沈まず、日常の手ざわりの中に回復の兆しを見いだしていく。
読みどころ
喪失を劇的に描くのではなく、食べること、眠ること、歩くことといった生活の細部を通して悲しみと折り合う過程を描くのが本作の持ち味である。怪異めいた出来事や夢の気配が現実に混ざり込む筆致も吉本作品らしく、死者と生者の距離が静かに縮まる瞬間に独特の安らぎがある。
こんな人に
身近な人との別れを経験した人、派手な事件よりも心の機微を丁寧に追う日本文学を好む人に向く。二中編構成で分量も手頃なため、吉本ばなな入門の一冊としても読みやすい。