作品データ
- 区分:一般ノベル- 著者:小川洋子- 価格:517円- 配信日:2016-01-30
どんな作品か
『博士の愛した数式』で知られる小川洋子による長編小説。海辺の町でホテル・アイリスを営む母を手伝う17歳の少女マリが、ホテルで騒ぎを起こした年配の翻訳者の男と出会い、危うい関係へと踏み込んでいく物語である。静かな海辺の風景と、その裏に潜む倒錯的な関係との対比が強烈な印象を残す、小川文学の中でも際立って緊張感の高い一冊だ。
読みどころ
小川洋子ならではの静謐で端正な文章が、支配と服従をはらんだ関係の危うさを描くことで、かえって深い戦慄を生む。少女の目を通して語られる世界は美しくも不穏で、光る海、孤島、翻訳という営みなどの意匠が象徴的に響き合う。読み手の倫理観を揺さぶる題材ゆえに、読後も長く心に残り続ける作品である。海外でも評価の高い一作として知られる。
こんな人に
美しい文章で危険な物語を読みたい人、小川洋子の別の顔に触れたい読者に薦めたい。甘くない文学を求める大人の読者向けである。