作品データ
- 区分: 一般実用(書籍) / ルポ・エッセイ・自叙伝- 著者: 五木寛之- 価格: 773円- 配信日: 2016-01-30
どんな作品か
作家・五木寛之が、成長を追い続けてきた戦後日本のあり方を「登山」になぞらえ、これからの時代を「下山」の局面として捉え直した思索的エッセイである。下山とは敗北や衰退ではなく、頂上を極めたあとに景色を味わいながら麓へ向かう、成熟のための行程だと説く。震災後の日本社会への眼差しも織り込まれ、広く読まれた一冊だ。
読みどころ
経済成長や拡大への強迫から距離を置き、「実り」の時期をどう生きるかを静かに問う筆致が持ち味である。宗教や歴史への造詣が深い著者らしく、日本人の死生観や無常観にも話が及び、単なる時代論を超えた射程を持つ。悲観でも楽観でもない、腰の据わった語り口が印象に残る。
こんな人に
右肩上がりの価値観に疲れを感じている人、人生後半の過ごし方を考え始めた人に向く。時代の転換期に自分の足場を確かめたい読者にとって、繰り返し開きたくなるエッセイである。