作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は吉本ばなな。522円・2016年1月30日配信。1988年に発表された、著者の初期を代表する中編のひとつです。
どんな作品か
19歳の弥生が、高校で音楽を教える叔母・ゆきののもとを訪ねるところから始まる物語です。物が散らかった家にひとりで暮らし、どこか浮世離れした叔母との奇妙な同居のなかで、弥生は自分の幼い頃の記憶がぽっかりと抜け落ちていることに気づいていきます。日常の隙間から差し込む違和感を、静かな筆致で追っていきます。
読みどころ
夜の空気や街のにおい、電車の窓から見える景色といった感覚的な描写が繊細で、登場人物の心のゆらぎとゆるやかに重なります。大きな事件が起こるわけではないのに、題名どおりの「予感」が最後まで途切れず持続する構成が印象的です。喪失を抱えた人が少しずつ前を向いていく、吉本ばなならしい読み心地があります。
こんな人に
静かな余韻の残る小説を読みたい人、吉本ばななの初期作品に触れてみたい人におすすめです。