作品データ
DMMブックスの一般ノベル(ミステリー・サスペンス)。著者は柚月裕子。価格891円、2025年2月配信。
どんな作品か
遠縁にあたる死刑囚・三原響子の遺体引受人に指名された吉沢香純が、刑の執行後に遺骨と遺品を受け取るところから物語は動き出します。響子はかつて幼い二人の少女を手にかけたとされる女性。香純は骨を故郷の菩提寺へ納めるため青森へ向かい、その道すがら彼女が最期に残した言葉の意味を探っていきます。『孤狼の血』などで知られる柚月裕子が、一人の女性の内面へ静かに分け入る長編です。
読みどころ
事件の関係者を一人ずつ訪ね歩くたびに、報道で語られてきた「加害者」の像がゆっくり輪郭を変えていきます。派手な仕掛けではなく、証言と記憶を積み重ねる筆致が読ませどころ。人が罪へ至る過程と、その人生に何が欠けていたのかを見つめる、重く誠実な一冊です。
こんな人に
社会派ミステリーや、犯罪の背景にある人間ドラマをじっくり味わいたい人におすすめです。