作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: はらだみずき- 価格: 770円- 配信日: 2022-10-06
どんな作品か
はらだみずきによる「海が見える家」シリーズの一冊である。物語の始まりで、就職した会社を早々に辞めた青年・文哉は、疎遠だった父の死をきっかけに、父が暮らしていた海の見える田舎の家を訪れる。都会の就職競争から降りた彼は、その土地での暮らしの中で、金銭だけに換算されない働き方や、自然とともにある生活の手触りを一つずつ学んでいく。シリーズを通して、文哉の移住生活と成長が描かれる。
読みどころ
田舎暮らしを安易な理想郷として描かず、収入の不安定さや土地の人間関係といった現実も含めて描くのがこのシリーズの誠実なところだ。それでも、海辺の家の風景や季節の描写には確かな魅力があり、読んでいると生活を立て直したくなるような静かな力がある。父がどんな人間だったのかを知っていく過程が、青年自身の生き方の問い直しと重なっていく構成も味わい深い。
こんな人に
移住や田舎暮らしに関心がある人、働き方に迷いを感じている人に向く。慌ただしい日常の合間に、ゆっくりした時間の流れる小説を読みたい読者にも合うシリーズだ。