作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は小川洋子。715円・2016年5月20日配信。角川文庫版でも読み継がれている短編集です。
どんな作品か
世界の片隅で静かに暮らす、少し風変わりな人々を描いた九編の短編集です。河川敷で逆立ちを練習する曲芸師、教授宅の留守を預かる賄い婦、放浪の涙売りなど、どこにもいないようでいて確かに息づく人物たちが登場します。話は互いに独立していますが、失われたものへの静かな執着という一点で通じ合っています。
読みどころ
硬質で無駄のない文章が、奇妙な設定をごく自然な日常として立ち上げていきます。標本や収集物といった小川洋子らしい素材が、ひんやりとした官能と喪失感を漂わせます。短いのに読み終えたあとも像が消えない、一編ごとの密度の高さが持ち味です。
こんな人に
静かで少し不穏な短編を味わいたい人、小川洋子の世界に触れてみたい人に。