作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は貫井徳郎。638円・2016年5月20日配信。結婚と家庭をテーマに八つの短編を収めた作品集です。
どんな作品か
「崩れる」「怯える」「憑かれる」など、いずれも一語の題を持つ八編が並びます。働かない夫と辞職して戻ってきた息子に苛立つ主婦、旧友の結婚報告に動揺する独身の翻訳家、子育ての孤独を抱えた母親など、主人公は結婚や家庭のどこかでつまずいた人々ばかりです。平穏に見えた日常が少しずつ形を失っていく過程が描かれます。
読みどころ
一編ごとの分量が短く、生活の描写から不穏さへ滑り落ちていく運びが巧みです。特別な事件ではなく、誰の暮らしにもありそうな苛立ちや思い込みが出発点になっているため、他人事として読み流せません。結末の付け方に作者らしい企みがあり、読後に印象が反転する編もあります。
こんな人に
後味の苦い短編集を読みたい人、日常に潜む狂気を扱ったミステリーが好きな人に。