作品データ
DMMブックスの小説(日本文学)。著者は『西の魔女が死んだ』などで知られる梨木香歩。価格638円、2022年12月7日配信。単行本は朝日新聞出版から刊行された。
どんな作品か
f植物園に赴任した園丁・佐田豊彦が、ある日、椋の木のうろ(巣穴)に落ち込み、子どもの体になって不思議な世界に迷い込む物語。前世は犬だったという歯科医の妻や、愛嬌のあるカエル小僧など、人と動物が語り合う異界を歩きながら、豊彦は自らの記憶を手繰り寄せていく。過去と現在、夢と現実が溶け合う幻想的な長編小説。
読みどころ
草木の匂いや水の気配まで感じさせる、梨木香歩ならではの濃密な自然描写が全編を包む。ゆるやかに揺らぐ語りに身を委ねるうち、主人公の抱える傷や家族の記憶が少しずつ立ち上がってくる。理屈で追うのではなく、感覚で味わいたい一冊。
こんな人に
幻想と現実が入り混じる文学世界が好きな人、静かで深い読後感を求める人に。