作品データ
DMMブックスの小説(SF・ファンタジー)。著者は斜線堂有紀。1,870円・2023年9月21日配信。書き下ろしを含む全7編を収めた短編集です。
どんな作品か
本という物体が存在せず、人が「本」となって物語を語り継ぐ世界を描いた表題作をはじめ、独自の理を持つ世界をひとつずつ組み立てていく短編集です。年齢を重ねた人間が動物へ変わっていく社会、婚姻をめぐる異形の風習など、作品ごとに舞台も語り口も切り替わります。幻想的な設定と痛みを伴う描写が同居する一冊です。
読みどころ
どの一編も冒頭でその世界の決まりごとを淡々と示し、そのうえで登場人物が追い詰められていく構成が共通しています。奇想の面白さだけで終わらず、誰かを思う気持ちの切実さと危うさが同時に描かれます。読後にざらついたものが残る作品が多く、そのぶん余韻が長く続きます。
こんな人に
奇想や幻想的な設定の短編集が好きな人、既存のジャンルに収まりきらない物語を読みたい人に。