作品データ
- 区分: 一般ノベル- 著者: 道尾秀介- 価格: 638円- 配信日: 2016-06-25
どんな作品か
『向日葵の咲かない夏』などで知られる道尾秀介による連作ミステリーである。舞台はリサイクルショップ「カササギ」。生真面目な店長の日暮と、探偵気取りで自信満々に推理を披露する居候の華沙々木、店に出入りする中学生の菜美が、身の回りで起こる小さな事件に関わっていく。春夏秋冬の四季に沿って進む、ほろ苦くも温かい短編連作だ。
読みどころ
本作の仕掛けは、華沙々木の推理が外れていることを知りながら、日暮がこっそり裏で辻褄を合わせてしまう点にある。なぜ嘘の推理を成立させるのか――その理由に、傷つく誰かを守ろうとする優しさが隠れており、謎解きの快感と人情話の味わいが一度に楽しめる。どんでん返しの名手が魅せる、肩の力の抜けた一面も貴重だ。
こんな人に
日常の謎系ミステリーが好きな人、読後に温かさが残る短編集を求める人に向く。道尾作品の暗い面が苦手な読者の入口にも適した一冊である。