作品データ
DMMブックスの小説(ミステリー・サスペンス)。著者は乾くるみ。649円・2015年8月14日配信。『イニシエーション・ラブ』で知られる著者が、高校生を主人公にした中編二作を収めた一冊です。
どんな作品か
表題作「クラリネット症候群」は、憧れの先輩の前で借りたクラリネットを壊してしまった少年が、その日から特定の音を聞き取れなくなるところから始まります。併録の「マリオネット症候群」では、女子高生の里美が自分の身体を別の人格に明け渡してしまいます。どちらも不思議な設定を入り口に、恋と謎解きが同時に進んでいきます。
読みどころ
奇妙な現象をひとつだけ受け入れたうえで、そこから先は理詰めで話を組み立てていく構成が持ち味です。二作は独立して読めますが、並べて読むことで見え方が変わる仕掛けも用意されています。青春小説としての甘酸っぱさと、読者を油断させてから足をすくう作者の手つきが同居しています。
こんな人に
仕掛けのある青春ミステリーが好きな人、乾くるみの他の作品を楽しんだ人に。